車両狂想曲第1番「キハ58系」【第28楽章】マスキング治具と塗装2回目
前回行った1回目の塗装(車両狂想曲第1番「キハ58系」【第27楽章】高精細アクリル塗装1回目)が乾燥したようなので、今回は初導入のマスキング用治具を使用したマスキング作業と、2回目の塗装後の状態を見ていきます。果たして、マスキング治具はその用を足すのか否か(塗装の失敗画像付き)。
マスキング治具の準備と具合
塗分け用のマスキングを確実、スピーディー、かつ、簡単に済ませるため、今回は治具を造形していますので、使っていきます。この治具は、通常のアクリル造形により、超音波洗浄まで済ませています。
治具の設計内容については、以前記事にしたもの(車両狂想曲第1番「キハ58系」【第24楽章】マスキング治具とボディ再設計)です。
まずは、治具の切り離しです。
切り離したパーツは、それぞれスプルー(ランナーみたいな部分)も綺麗に切り離し、跡を綺麗にしておきます。いや、このニッパー、跡の仕上げ要らないくらいよく切れるわ。
切り離した治具を、塗装済みのボディに当ててみます。あ、設計が不安っちゅう訳じゃあないです、念のため念のため(自分に言い聞かせる)。
前の方とか 微妙なところとか
大丈夫でした。ここでうまくいかないと凹みまくるところでしたが、ひと安心。
アクリル造形は、表面処理の面倒くささがありますが、別個に造形したものでもしっかり寸法が合います。窓なんかも大丈夫でしたので、マスキング作業に移ります。
マスキングテープの切り出しと貼付け
マスキングテープは、TAMIYA製のものを使用しています。幅を考えながらマスキングしていくことと、テープの端は直線が出てない場合がありますので、マスキングテープを一旦カッティングマットに軽く貼り、端を数ミリほどカットして捨てます。
カット準備 ここ捨てます
端っこは切った側の切り口を使ってもいいのですが、どっちが新しい切り口か分かんなくなるので、私は容赦なく捨ててます。私は反対側(上の写真の左側の端)も切り捨ててますが、ここはお好みで。
カットは金属製の定規を使っています。プラやアクリルの透明な方が使いではよさそうですが、定規の上をカッターの刃が滑って指に突進してきますので(私がヘタクソなだけかも)、金属製を愛用しています。
カッターナイフの刃も、綺麗な切り口になるよう1コマ折っておきます。私は黒刃ってやつを使ってますが、切れ味の違いは分かんないかなー、滑りは良いような気はするんだけどなー。
あと作業には、ハサミが必要です。宙に浮いたまま切るのに必要ですし、カーブなんかの切り出しが楽です。
マスキングテープは、幅が広いと塗らないといけない部分にかからないように、2mm幅程度に切り出して貼っていきます。
裾の塗分け 窓用治具
いや、これは楽でいい。ちなみに窓用も試してみましたが、位置合わせと直線を出す作業が一度で済みます。
作って良かった♪
次に、窓周りの部分です。
ハサミで切り出し 貼り付ける
窓周りカーブの部分は直径0.4mmにも満たないため、ハサミで大まかなカーブを切り出します。このカーブ部分は、治具に押さえつけることで修正が利きますので、大体のところで大丈夫です。
写真では、ちょっとマスキングテープの馴染みが甘いところがありますが、ここは後で竹串でしっかりと押さえておきます。私はこんな場所の吹込み常習犯なので、細かいところですが、注意して作業していきます。
残る前面の運転席周りですが、乗務員ドア周りのマスキングの幅が狭く、これまでの経験から失敗の可能性が高いため後回しにし、裾と乗客用窓周りを塗装していきます。
塗装2回目
塗料は地色同様にジェイズのスプレーを使用しました。急行気動車朱色です。
塗り終わり マスキング剥がし後
運転席周りがないとちょっと抜けた感じですね。塗分けの具合を見てみます。
側面ちょい荒い肌が… ん?汚れ?
塗分け高さのムラもなく、うまくいきました。右側の写真で冷房引き通しジャンパー受けに少し吹込みがありますね。
あと、汚れが写っているように見えますが、マスキングテープに地色が移っていました。塗装が剥がれていますね。
2日半乾燥させたので、塗料の問題ではなさそうなのですが、キロ28を見て、原因がほぼ分かりました。
ドアの仕上げ、もう少し 塗装の剥げ
これまでの写真なんかを眺めていると、どうもワックス分が残っていたのが原因のようです。DMMmakeよりもサポート材となるワックスが強めに残っていたため、超音波洗浄の後にラッカー薄め液を併用したのですが、足らなかったようです。
先ほどの吹込みと共に、塗装が全て終わってからタッチアップをしていきますが、結構酷いですね。プライマーもワックス分はお手上げなのでしょう。
剥がれをあちこち探していたら、見つけました…。
むむむ…、痛恨の吹込み。幸いにして薄っすら乗っているだけですので、コンパウンドで修正できる範囲です。
と、塗分け自体はうまくいっているので、マスキング用治具はとりあえず成功でしょう。あ、票差しずれとるやん ← これは治具ではなく私のせいだわ
ベンチレーターも剥げが見えますが、ここはグレーでいきますので、気にせず進めていきましょうか。
マスキング治具検証
今回試したマスキング用の治具は、内容も作業の軽減効果も満足できるものでした。出来上がりのものは見てのとおりですが、マスキングに要する時間は、劇的に短くなりました。
今回の4両は、以前から試作してきた単位でもありますが、マスキングを始めて塗装が終わるまで、半日程度でした。治具を使わない今までのマスキング作業時間から言えば、4両分でまる1日かかり、塗装は翌日になっていました。
また、乗客窓と裾を一緒にやるのは根気がついてこなかったため分けて行っていましたので、ここまでの作業はのべ4日、間に乾燥を1日挟んでいましたので、5日間必要でした。塗装を行うマスキング翌日に雨が降ったりすると困るので、天気予報とにらめっこしながら、用事があると塗装できないのでカレンダーとにらめっこしながら、塗装当日もマスキングの剥がれをチェックして行っていましたので、塗装の塗分けはホントに難儀でした。
今回マスキングは1両40分、後半は慣れて20分少々で済み、天気が良ければ塗装まで半日で済みます。いや、塗装が好きになりそう(と言ってみるw)。
なにより直線部の位置決めと線の出方は、小さいだけに治具の効果は抜群です。細い塗分けが必要な客車や、位置決めが難しい塗装に応用していきたいと思います。
今後の課題
塗装はまだ運転席周りが残っていますので作業は継続ですが、ここにきて塗分けはともあれ、マスキングを剥がすときに塗装が剥がれてしまうのをなんとか考えないといけません。
ワックス分を除去するのにリモネンを使用するという情報がありましたので、こちらを試してみることを検討しています。超音波洗浄機も毎度引っ張り出すのは面倒ですし、ラッカー薄め液も浸け過ぎると材質を傷めてしまうとのことなので、さらに良い方法を模索してみます。
ま、どれもこれもダメなら、物理的に歯ブラシとクレンザーで磨き、クレンザー成分を流すという物理的な方法もありますし、試していない方法としてフッ素が入っていない練り歯磨きとか、コンパウンドに中性洗剤混ぜるとか、いろいろ考え付く方法はありますからね。て、普段私は何を考えているのでしょうかw
ともあれ、マスキング用治具が有効なのは分かりましたので、特急気動車の前面塗分けとか、治具の適切な遊びの検証とか、使っていくための内容を整理していくことにします。キハ58のこの後の仕上げネタは、窓ガラスとレタリングでしょうか。
とにかく塗装を全て終わらせて、仕上げていくことにします。