窓ガラス挑戦倶楽部【8枚目】正解発見!?ユニット窓仕上げてみた

動力シャーシポン付けと共にトライを繰り返してきた窓ガラスの挑戦ですが、アクリル造形のモデルについて、新しい手順で使える仕上がりを手に入れましたので記事にしました。今回の内容は、ユニット窓への適用を中心にご紹介します。

前回までの仕上がり

ここ数回、アクリル造形を使用した窓ガラスに挑戦してきましたが、途中まではそこそこ良い状態で仕上がるものの、仕上がりはハッキリ言ってイマイチでした。

キロ28用窓の仕上げ記事
窓ガラス挑戦倶楽部【6枚目】懲りずにアクリル磨き

ペーパーがけを省いた仕上げ記事
窓ガラス挑戦倶楽部【7枚目】新ボディ用のガラス磨き

これまでは以下の手順によっていました。

  1. 超音波洗浄機でワックス除去
  2. お湯でさらにワックス除去
  3. コンパウンド磨き
  4. 中性洗剤で洗浄
  5. クリア吹き付け
  6. ペーパーがけ(前々回実施、前回は省略)
  7. 中性洗剤で洗浄
  8. クリア吹き付け2回目
  9. 好みで仕上げコンパウンド磨き

この手順の振り返りは、次のとおりです。

  • お湯でのワックス除去は、効果が低い(ないとは言えない)
  • コンパウンド磨きは、ワックス除去効果が高い
  • クリア塗装後ペーパーがけには乾燥時間が長く必要
  • ペーパーがけは省略しない方が良い
  • クリアを吹き付けるとクリアにならない(曇りがち)

これまでの手順の振り返りの他にも、アクリル造形や透明パーツの仕上げに関する情報を集めて検証した結果、アクリル造形は脱脂しすぎると白化する場合があることも分かりました。そこで、脱脂に関する内容を見直します。

新手順への整理

脱脂に関する手順を組み立てるため、以下のとおり整理しました。

中性洗剤の使用方法

そもそもワックス分は中性洗剤に溶けるわけではなく、手で触った場合の皮膚の油脂の除去と、一度造形物から剥がれたワックス分が再度造形物に付着しないために使用しています。そこで極力使用を減らします。

ボディもそうですが、これまではたくさん入れときゃ効果も高いだろうと、超音波洗浄の際には考え無しに回しいれていました。次の手順でコンパウンド磨きを入れていますので、手の油脂はあまり気にする必要がありません。

そこで、全ての手順で中性洗剤使用量を数滴レベルに減らしていきます。

クリア塗料の見直し

これまでラッカー系のクリア塗料を使用してきましたが、含まれる有機溶剤により曇りは少なからず発生するようです。クリア吹き付け後になんとなく曇るのは、この影響と考えられます。

Shapewaysの造形はワックス分の付着が多く、ボディから除去するためにラッカー系薄め液に浸すと、白化する部分としない部分があります。キロ28用の窓ガラスで以前試したところ、まっちろけになってしまったのも記憶に新しいところです。

キロ28窓ガラス失敗の巻
窓ガラス挑戦倶楽部【4枚目】クリア吹いてみた

そこで、クリア塗料は水性のものを試すことにします。

超音波洗浄方法の見直し

これまで超音波洗浄には水やぬるま湯を使用してきましたが、僅かな効果を見込んで50℃以上のお湯を使用することにします。私が使用している超音波洗浄機は、使用する水量500ccが適量なので、500ccの計量カップで、200~300ccの水に沸騰したお湯を満たしたものを使用します。

新手順

前置きが長くなりましたが、新手順は次のとおりです。

  1. お湯で超音波洗浄し、一次ワックス除去
  2. コンパウンドで磨き、二次ワックス除去
  3. ペーパーがけ
  4. 中性洗剤で洗浄
  5. クリア吹き付け

かなり単純な手順になりました。クリア吹き付けは最後の1回にしましたので、組付けまでの時間も圧縮できます。

仕上げ作業

新手順により、工作を進めました。今回は、キハ58、オハ12、軽量客車の窓を仕上げていきます。

ユニット窓の仕上げにはサッシを塗装する必要がありますので、その手順を中心に作業をしていきます。

超音波洗浄

前述のとおりお湯と中性洗剤を使用して超音波洗浄機にかけます。名前はすごいものですが、シチズン社の一般的なものです。

高級なものの方が効果も高いのでしょうが、お安い物でも十分かと思います。とりあえず、電気と水を同時に使用しますので、感電したらシャレになりません。

 日本メーカー製品の使用を、強くおススメします。

今回、洗浄は、300秒(5分)を2回行いました。二回目は上下をひっくり返して行いました。

コンパウンド磨き

コンパウンドはタミヤコンパウンド(粗目)を使用し、いつものドンキで購入した電動歯ブラシを使用しました。

写っている神ヤスは、次のペーパーがけで使用するものですので、気にしなくて大丈夫です。コンパウンド磨きは、裏面も含め、しっかり磨きます。

水分を拭き取ったときに、全体的にすりガラスのようになれば完了です。かけすぎると窓サッシの造形が甘くなり過ぎるので、様子をみながらかけていきます。

歯ブラシは細かいところまで毛が届くので専ら使用していますが、毛で磨くのではなくコンパウンドが磨いてくれますので、強く押し付ける必要はありません。軽く手で持って作業していきます。

ところでこの歯ブラシなのですが、強く握りしめると、なんとなくですが、しばらく指先の間隔が妙になりますので、軽く持ちましょう。前回までにも紹介していますが、なければ使い古しの歯ブラシでもいけます。

他の電動歯ブラシも同様ですが、毛先が細くなっているものがいいと思います。

ペーパーがけ

ペーパーがけは、神ヤスの600番を使用しました。平面を出すように、主に造形の段差を消すように当てていきます。

今回は水研ぎを行いました。空研ぎでもいいのですが、すぐにペーパーが目詰まりしますし、削った粉を吸い込むとなんだか良くなさそうなので、マスクしましょうね。

さて、サッシ窓は間隔が細いので、細く切った神ヤスを使用しました。神ヤスは使いやすいので愛用していますが、普通の耐水ペーパーでも大丈夫です。

ただし、耐水ペーパーを細く切ったものはかけにくいので、割りばしの先を細くしたものに貼り付ける等、やりやすい方法を工夫します。特に造形物の角が丸くならないように注意しながら磨いていきます。

中性洗剤での洗浄

ペーパーがけが終わったら、中性洗剤で洗浄します。といっても、食器のように洗う訳ではなく、洗浄用の容器に水を満たし、中性洗剤を1~2滴落としたものをかき混ぜ、その中で洗います。

その後、水でしっかりすすぎ、乾燥させます。

マスキング

サッシ部分を塗分けるために、マスキングを行います。

客室サッシ窓のマスキングは、マスキングテープを使用しました。マスキングゾルは、軽量客車の窓サッシの際に使用するかもしれないので引っ張り出しました。

スペシャルオファーとして、0.4mm幅のマスキングテープを使用してみました。軽量客車のドア窓の塗分けマスキングトライ用です。

客室窓から作業します。細く切ったマスキングテープを、サッシの線に合わせて貼っていきます。

かなり細いので、マスキングテープの切り出しが大変ですが、私はマスキングテープのケースから出して切る時の切った後のギザギザの山を目安に幅を決めました。たまたま同じ幅になる場合もあれば幅が足らない場合もありますが、そんときゃ2枚貼れば良いので、気楽に進めました。

今回3両分でしたので、結構疲れたかも。しかし、さらに疲れる出来事がw

軽量客車のドア窓マスキーング!!ベリー大変ッ!!!

 いや、これ無理www

 も少し言うと、剥がすときどうすんのコレ

てことで、スペシャルオファーは諦め、マスキングゾル&爪楊枝大作戦に変更しました。

あまりの面倒くささにマスキングテープを剥ぎ、マスキングゾルを塗料皿に移し、爪楊枝でチョンチョン盛っていきました。これもそこそこ面倒でしたが、テープ貼り付けるよりも遥かにマシ。

マスキングゾルは、乾燥に30分ほどおきました。もう少し長くてもいいのかな?

てことで、あとは裏面や必要のない部分にマスキングテープを貼り、マスキング作業は完了です。

シルバー吹き付け

マスキング後、まずはプライマーサーフェサーを吹き付け、シルバーを吹き付けました。使用したのは、タミヤスプレーのアルミシルバーです。

片面なので、お気楽塗装。塗装後、20分ほどしてマスキングテープを剥がしました。

軽量客車のドア窓は、マスキングゾルを爪楊枝でほじくり、剥がしました。いや、これは剥がれるのかと心配になるくらいに窓ガラスと仲良くなっていましたが、一部めくれると楽に剥がれてくれました。

厚めにマスキングゾルを塗った部分の方が楽に剥がれましたので、これからはなるべく厚めに塗ろうと心に誓ったものの、マスキングゾルは極力使わない方が楽でいいのかなと自分に言い聞かせた私もいました。

クリア吹き付け

肝心のクリア塗装ですが、今回はクリア塗料を見直しました。水性でそこそこ良いものということで、これをチョイス。

チョイス

 GSIクレオスプレミアムトップコート光沢グロス仕上げ水性!

水性塗料はあまり良い印象を持っていなかったのですが、ネットの評判も良く、メーカーの力の入れ具合も気合入っていましたので、採用を決定。

 しかし…

入手がちょっと難しかった、ですか。半つや消しやつや消しはヨドバシカメラでもどこでもあるのですが、光沢は量販店には置いてなかったです。

反面、模型店にはそこそこあり、電話をかけて取り置きしてもらってから購入しました。隙間を狙って小さな模型店から買ったのですが、後日ボークスに塗料を買いに行ったところ、在庫は潤沢でした。

と、私のがっかり話は置いといて、早速吹き付けです。窓サッシのシルバーが十分乾燥してから行いました。

これはトップコートなので、マスキングは一切なしでいけます。表、裏、1回塗りでオッケーでした。

ネットで使用感をいろいろ検索すると、光沢は少し厚めの感じで吹くと良いという書き込みがありましたので試したところ、2回塗りは必要ないと思いました。

窓ガラスの仕上がり

ホント前置きが長くなりましたが、仕上がりを見てみます。

いや、これはイイ!ベリーグッド!!曇りもなく、プラパーツのような、とは大げさですが、なかなかの透明感です。塗分けはもう少しツメが欲しいところですが、使えます。

この表現の部分ですが、以前はかっちりした仕上がりを目指して窓枠を造形し、塗装後にレジンを入れる方法で試作までしたことがあります。以下、窓枠の写真です。

どうしても厚みの変化の点で反りが発生してしまい、ボディへの組付けが難しくなりました。また、レジンを流しいれた後に表面をどう仕上げるかのアイディアが浮かばず、断念していました。

今回の方法でも若干の反りは出るものの、細い神経質な部分が無いことから修正が容易です。他のパーツも見てみます。

少し曇りがでている個所がありますが、丁寧に磨いた部分は良い透明感です。ドア窓はマスキングゾルの盛り方がまずい部分があったりしますが、曇りや縞は磨き不足のようです。

ドア窓のサッシはあまりにも目立たないので、Nゲージ製品のように上と中桟だけの表現で検討します。磨きやすくマスキングも楽になり、同じ仕上がりにしやすくなりますしね。

あと、今回の水性クリア塗料に最初から至らなかったのは、紫外線によるアクリル材質の黄変対策をしたかったからです。UVCutクリアーであれば心配不要ですし、1回で済むことから優先したためです。

今回のクリア吹き付けはこの点をあまり期待できないので、必要があれば対策を講じます。

クレオスのクリアーコートです。使うのにコツが必要ですし、完璧ではないかも知れませんが、屋内で使用することが多い(てか、ほとんどソレ)鉄道模型では、そこまで神経質にならなくても大丈夫でしょう。

今回のおまとめ

仕上がりが良好、そこまで難しい作業を伴わないという点で、窓が大きな車両や曲面のある窓を持つ車両に応用できる方法と思います。小さな部分であれば磨きの作業も短時間で済みますので、前面ガラスには利用価値が高まりそうです。

最短はパノラミック窓を持つキハ65やED75といったところですか。あと、583系や特急気動車の公開の実現に大きな一歩です。

前回記事のポン付けにしろ今回の窓にしろ、課題が解決すれば設計の速度が飛躍的に上がりますので、ますます試作に時間を割くことになりそうです。あとの目立つ課題と言えばカプラーでしょうか。

にしても、窓ガラスはいろいろとやってきたもんです。透明樹脂のプリントサービスがもっと充実するまでになるかも知れませんが、当面の窓ガラス製作に目途がついたところで今回は終了です。

今回試作した窓ガラスのボディへの組み込みは、他記事で公開の予定です。

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